原稿は紹介するSF作品のちょうど半分を過ぎたところまで進みました。
細部の確認をするつもりで原著にあたって、読み始めたら面白く気がつくと時間が過ぎていきます。
今日原稿を整理していた作品の連載当時に掲載した画像を以下に、
これはカイアシ類という動物プランクトンの仲間です。陸水や地下水にもいますが、
海洋で採集されるプランクトンで数・量ともに一番のものです。
本当はとっても小さいのですが、こうして大きくしてみるとちょっとエイリアンみたいですよね。
連載当時、この画像を乗せた理由はまさに別の星のプランクトンが出てくるお話しだったためです。
最近の研究で、動物プランクトンは植物プランクトンをエサにするのですが、食べられる際に植物プランクトンが出す化学物質があってそれが雲を作ったり、動物プランクトンをエサにするクジラを呼び寄せたりするらしいことがわかってきています。
紹介するSF作品と負けず劣らず現実世界も驚きに満ちていますね。
それではまた★
はじめに
はじめまして。このページをご覧いただき、ありがとうございます。北海道札幌市を拠点として活動する大西光代と申します。
サイエンスライターとして、科学雑誌、書籍などの原稿執筆や科学翻訳、サイエンスイラストレーションの制作など、「科学を伝える」ための業務全般に携わっています。
詳細なプロフィールや仕事内容については SciWri-Mitsuyo.com をご覧ください。
これまでの実績
執筆
データ解析・レポート作成
- 「津軽海峡の流況解析」日本海洋科学振興財団
- 「夜間可視衛星画像によるスルメイカ・サンマ漁船の解析」一般財団法人 漁港漁場漁村総合研究所
翻訳
- 科学法則大全 (化学同人)
- 海外ゲームクリエイターへのメールインタビュー記事翻訳
- 海洋学、気象学分野学術論文の翻訳抄録作成
近著
近著(共著を含む)
海の研究者になりたくて、生まれ育った北海道周辺海域の海洋環境について研究していました。研究船に乘って実際の海洋のデータをとりに行ったり、微量成分の分析や、大量のデータの解析、シミュレーションなどいろいろな経験を積むことが出来ました。遠く北太平洋での漁労経験もあります。
この分野(海洋、気象、環境、気候変動)の科学論文の翻訳と抄録の作成を15年してきました。
現在は言語AIの登場などでお休みしていますが、長い間平均して月に30本程度新しい論文(主に英文)を読む生活でした。これは、結構多いと思いますし、私の強みになっていると思います。
子育て中に子供が書店で見つけた科学雑誌で編集委員を募集していると知り応募したのがきっかけで、子ども向けから研究者向けまで幅広く、科学雑誌・書籍・ウェブでの執筆と編集を行っています。フリーランスですが、チームワークとスケジュール管理も得意なほうだと思います。
科学というと苦手意識や冷たいイメージを持つ方もいると思います。でも本当はとても誠実で頼りになるものだと思います。ですので、霧深い海上を行く船へ光を送る灯台のように、科学が持つ光を日常の中へ届けたいという想いを持って活動しています。
今回のプロジェクトは、科学が進んだ未来を描く小説であるSF小説に目をむけてもらうことで科学が持つ可能性に興味を持ってもらえたらと着想しました。ニュースで見る世界の出来事や自然災害、子供の頃夢に見た未来や懐かしい思い出などと“どこか似た情景”が描かれていたり、全く想像したこともない“奇想天外で壮大”な世界観のSF小説を紹介する書評集を執筆したいと思っています。書評集というと固いですが、旅のガイドブックのようなもので、一足先に訪れた私が皆さんにSFの世界の面白さ、素晴らしさ、注目ポイントを紹介する本です。
一寸先は変化の時代
2011年3月の東日本大震災は、現実にこんな災害が起こりうるのだという衝撃を与えるものでした。それ以降も、新型コロナウィルスによるパンデミックやロシアのウクライナ侵攻、今年に入ってからは能登半島地震など、人々の暮らしや社会を揺るがす災害や紛争が絶え間なく生じています。
また、次々と生まれるイノベーションやテクノロジーによって、社会の在り方や価値観が、これまでよりも格段に短い期間で変わってしまうことも珍しくありません。
2016年に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)では、このような変化の激しい不確実な時代が「VUCA world※」と形容され、人類が直面するこれまでにない局面として警鐘が鳴らされました。それを皮切りに、国内でも「一寸先は変化」のこの状況下を生き抜くための考え方やスキルが、国や企業含めて議論されています。
※VUCAとは、Volatility(変動制), Uncertainty(不確実性), Complexity(複雑性), Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語で、予測できない状況をさす。
100年前の日本人は未来を予測していた?
VUCAの時代とよばれる現代ですが、歴史を振り返ると、今から100年前の日本も激動の時代でした。
いわゆる「大正デモクラシー」によって人々の意識に生じる大きな変革。関東大震災といった未曽有の大災害。成長や挫折、復興が入り混じる当時の社会は、現在私たちが直面している状況と比べても勝るとも劣らず不確実性の高い様相呈していたのではないでしょうか。
「百年前の二十世紀 ─明治・大正の未来予測 横田 順彌 著」では、この時代に生きる人々が100年後の未来(つまり現代)を予測して描写した内容が紹介されています。
百年前の二十世紀 ─明治・大正の未来予測 横田 順彌 著 筑摩書房
今から百年前、二十世紀が始まったばかりの頃、未来予測や未来小説が流行した。明治・大正を生きた人々は、来るべき未来に対してどのようなイマジネーションを働かせ、ビジョンを抱いていたのだろうか。(百年前の二十世紀 ─明治・大正の未来予測 筑摩書房)
この本を読むと、当時の未来予測の多くがそれになりに当たっていたことがわかります。現在と比べて人々が入手できる情報の量が桁違いに少ないにもかかわらず、100年後の未来を言い当ててしまう高い先見性におどろかされます。
変化の激しい時代こそ、“未来の空想” をやめてはいけない
これから10年後がどうなるのかもわからない現代において、100年前の人々の未来予測は私たちを鼓舞してくれます。
その時代に無いものや、それによってもたらされる未来を空想することは、新しい技術革新を創り出す源泉になりますし、今後起こりえる自然災害や感染症、戦争について、様々な状況を想定した備えに繋がります。
100年前の日本人は、激動のさなかに来るべき未来に対してイマジネーションを働かせ、時代を切り拓いてきました。今を生きる私たちも、不確実な将来に対する漠然とした不安に対して空想を働かせて対峙し、未来をより良いものにできるはずです。
執筆したいSFガイドブック
私たちの身近にある最新のテクノロジーや科学の発見、ニュースで見る世界の出来事、見舞われた自然災害にとてもよく似た出来事が描かれているSF小説や奇想天外で想像を超えた未来が描かれているSF小説を紹介し解説します。
もともと科学誌『Rikatan』でSF書評の連載を担当していました。『RikaTan』の休刊で連載は終了しましたが、その後に起こったパンデミックやイスラエルとパレスチナの問題なども踏まえ、新たな書評を加えて連載を1冊の本にまとめたいと思っています。
当時の連載
休刊で途絶えた連載を復活し、1冊の本にまとめたいと考えています。
時間を巻き戻すすべのない私たちが傷ついた心を癒していくために、想像の世界での出来事とそれに立ち向かう登場人物のあり様を見ていくことは意味があります。
現在の紛争地帯のような話や多様性の問題等はすでに10年以上前のSF小説で取り上げられていました。SFが予言している数多の世界を垣間見ることは、不確実な世界において、我々が今後直面する非日常に対する思考実験・予行演習になります。
そして、世の中の大きな流れだけでなく、ささやかだけれど、大切な日常のなかで私たちは悩んだり不安をかかえたりして暮らしています。私自身もそうで、学位を取得して科学記事を書いているというと充実した人生のように見えるかもしれませんが、小さな子供を抱えながら、惨めな気持ちで孤独と不安の中に暮らした時期がありました。SFにままある極限状態での人間描写には純化された強い意志や気高さが描かれることがあります。私はそれに大いに力づけられました。
この本で知った作品から、同じように自分を信じる気持ちと希望を見出してくれたらと思います。
ガイドブックの内容、執筆期間
取り上げる作品、特徴など
取り上げるSF作品数は42編を予定しています。これは、ダグラス・アダムズのSF作品『銀河ヒッチハイク・ガイド』に登場する 生命、宇宙、そして万物についての究極の “疑問の答え” からそう決めました。
ハインライン『夏への扉』や伊藤計劃『ハーモニー』、ティプトリーJr.『たったひとつの冴えたやりかた』などの有名作家の有名作品から、宮西健礼『銀河風帆走』のようなこれからが楽しみな新人作家の作品、昔の作家の滋味深い短編、映画化された作品など、古今東西のSF作品です。
取り上げる作品の例(抜粋)
- 『夏への扉』
- ロバート・A. ハインライン著、福島正実[訳]、 早川書房
- 『たったひとつの冴えたやりかた』
- ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 著、浅倉久志[訳]、 早川書房
- 『あなたの人生の物語』
- テッド・チャン 著、公手成幸[訳]、浅倉久志 [翻訳], 古沢嘉通 [訳], 嶋田洋一 [訳]、早川書房
- 『ハーモニー』
- 『銀河風帆走』
取り上げるSF小説の例
作品は連載当時の世相と絡めて選定しているものもありますが、普遍的なテーマについて選んだ作品も多いです。さらに連載から時を経てさらに注目すべき作品となっているものもあります。必要なものについては連載当時の文章に改訂を加える予定です。また、数作品の新しい書評を加えるつもりです。
届けたい読後感
一つ一つの書評は、忙しい日常の中でも読み切れる分量となっています。その都度、爽快だったり、考えさせられたり、懐かしさを覚えたり、SF世界の広がりを感じるような、書評一つ一つが読んでくださる皆さんへの “不思議な贈り物” のようにしたいと思っています。そして最終話は一冊読んでよかったと思えるような、希望に満ちたものを用意したいと考えています。
作品の紹介に際して、自分のこれまでの経験が、SF:サイエンスフィクションのサイエンスの部分での洞察に役立っているものもあると思います。専門の水産学は応用科学の分野で、関連する生物学、化学、工学、経営学などの教育を受ける機会がありました。
私自身は海洋学と気象学を専門としています。これらは流体力学という分野に近く、物理学を専門とする人のなかでもあまり学ぶ機会がない分野です。幅広い分野にわたる専門教育と、さらに進んだ専門では少し特殊な物理を学んでいるというバックグラウンドがすこし変わった世界の見方になっていると嬉しいです。
流体力学的なとらえ方はテッド・チャン『あなたの人生の物語』の回に特に表れているのではないかと思います。また、レイ・ブラッドベリ『都市』の書評は翻訳に携わった経験を意識的に切り口にしています。その他にも海外作品を伝える場合には多少そういった経験からの“ウンチク”がまざっているかもしれません。
ボリューム
約8万5000文字。(新書一冊と同等のボリュームとなります)
形式
- PDF形式
- プラチナスポンサー様には印刷の上、簡易製本して送付させていただきます。
執筆期間
2024年11月中に脱稿が目標です。脱稿後、すみやかにリターンを提供いたします。
応援のご紹介
リターン
シルバー
1100円
- 書籍冒頭に献辞としてお名前を掲載いたします。
- モノクロ版PDFファイルへのアクセス権(イラストはありません)。
ゴールド
1,650円
- 書籍冒頭に献辞としてお名前を掲載いたします。
- 著者のイラスト入りカラー版PDFファイルへのアクセス権。
プラチナ
4,950円
- 書籍冒頭に献辞としてお名前を掲載いたします。
- 著者のイラスト入りカラー版PDFファイルへのアクセス権。
- 著者サイン入り製本書籍(表紙:カラー、本文:イラスト入りモノクロ)。
おわりに
これまでの雑誌での連載では、真っ先に私のコーナーを読んでくださるという読者さんがいらっしゃいました。一年の最後に読む文章が私のものでよかったという感想もいただいた事があります。
執筆する書籍も、皆様の心に響くものになるよう綴っていきたいと思います。
クラウドファンディングはカリスマ性のある人がするもので、自分とは無縁と思っていました。しかし伝えたいことがあるなら、冒険してみようと考え直しました。
ご支援、どうぞよろしくお願いいたします。